人流とは?人流データの種類や活用メリットも紹介!

企業の売上を拡大させるためには、マーケティングの見直しも大切な項目です。マーケティングの手法を見直すことでユーザーニーズが明確になり、企業がいま行うべきことが分かります。

最近はスマートフォンなどの機器の普及が進み、人流データの取得が容易になりました。今回は、人流とは何か、人流データの種類や活用するメリットなどを分かりやすく解説します。人流データを活用する際の流れや注意点も紹介しますので、自社の売上を拡大させたい方は、ぜひご一読ください。

目次

  1. 人流とは?
    1. 人流データの活用・人流分析が注目されている理由
    2. 人流データの活用メリット
  2. 人流データの種類
  3. 人流データを活用する際の流れ
    1. データの検討
    2. データの取得・作成
    3. データ分析
    4. データ提供・管理

 

1.人流とは?

人流とは、移動する時間や場所、各エリアでの滞留時間など、人々の動きや流れを指す言葉です。

【人流とは】

  • 人々が「いつ」移動しているのか
  • 人々が「どこ」から「どこ」へ移動しているのか
  • エリア内でどのような動きをしているのか
  • エリア内での滞留時間はどのくらいか
  • 何人が移動・滞在しているのか

そして人流データとは、スマートフォンなどの機器を介して観測・収集された位置情報を指します。

【位置情報の取得に利用される主な技術】

  • GPS
  • Wi-Fi
  • ビーコン
  • 通信基地局

膨大な位置情報を移動経路や滞留時間などの状態別に判定・統計し、導き出されたデータを目的別に分析することが人流分析です。

 

1-1.人流データの活用・人流分析が注目されている理由

近年、人流データの活用や人流分析への注目が高まっている理由としては、主に下記の4つが挙げられます。

【人流データの活用・人流分析が注目されている理由】

  • 精度の高い位置情報データの取得が容易になった
  • 人流データを分析する技術が向上した
  • データを扱うためのコストが下がった
  • 人流データを活用できる場面が増えた

スマートフォンをはじめとしたモバイル端末の普及により、以前より精度の高い位置情報を大量かつ安価に収集できるようになりました。高スペックのコンピューターやAIの開発・進化により、短時間で大量観測データを分析できる環境整備が進み、あらゆる場面で活用しやすくなっています。

また、日本国内での新型コロナウイルス感染拡大に伴い、行動制限の呼びかけに人流データを参考にした混雑情報や行動予測などが取り上げられました。感染対策の一環として活用されたことも、人流分析に注目が集まるきっかけの1つです。

 

1-2.人流データの活用メリット

人流データを活用することで、下記のようなメリットが得られます。

【人流データの活用メリット】

  • リアルタイムで収集された鮮度の高い情報が入手できる
  • 常時収集される高精度のデータをいつでも取得できる
  • 年月日別や時間帯別、エリア別など、ピンポイントなデータを把握できる
  • 現地調査にかかるコストを減らせる
  • 蓄積・保存された過去のデータとの比較検証も容易にできる
  • 他の統計情報と組み合わせれば、より精度の高い分析データが入手できる

既存の統計情報は人力を要するものが多く、データの収集頻度もあまり高くありません。人流データを活用すれば、最新情報の詳細な把握が可能です。SNSや購買情報などと組み合わせれば、新たな発見をもたらすケースもあります。

 

2.人流データの種類

人がいつどこに何人いるのか」を把握するために用いられる人流データは、計測方法や集計加工方法によって「カウントデータ」「滞留データ」「ODデータ」「移動軌跡データ」の4種類に分けられます。
ここではその4種類について、それぞれのデータがどの様な取得内容に向き不向きがあるのかといった特徴をまとめました。

人流データは、計測方法や集計加工方法によって次の4つに分類できます。

カウントデータ
  • 指定した地点を通過した人数を把握できる
  • 移動方向・時間帯・年齢・性別などと紐づけることもできる
  • 通行量の観測に向いている
  • 詳細な行動パターンの把握には向かない
滞留データ
  • 指定した地点・限定した空間内に、一定時間とどまった人数を把握できる
  • 時間や性別・年齢などの属性を紐付けることで、時間や売り場ごとの混雑度など、ジャンル別にデータを取得することもできる
  • 該当エリアの密度や混雑度の観測に向いている
  • 個々の移動データ把握には向かない
  • 正確なデータ収集には複数の装置が必要となる
ODデータ
  • 出発地点(origin)から目的地(destination)まで移動した人数を把握できる
  • 特定の地点間で大まかな人の流れを調べられる
  • 詳細な動線は特定できない
  • カメラ画像・動画やセンサーによる人流データ分析との相性は悪く、
      2地点に設置された装置で同一人物を認識することはまだ現実的ではない
移動軌跡データ
  • 指定範囲内であれば一人ひとりの詳細な移動経路を把握できる
  • 店舗内の客の動きや観光客の周遊ルートなどを調査できる
  • 定量評価には向かない
  • データ取得頻度が長い装置との相性が悪く、特にGPSやWi-Fi等が発する電波・位置情報を用いた分析は、
      より詳細な移動軌跡の把握が困難

 

3.人流データを活用する際の流れ

人流データは、さまざまな業界で活用できるデータです。例えば、以下のような業界は人流データの応用範囲が広く、マーケティング戦略に活用しやすい業界と言えるでしょう。

【人流データの活用例】

業界 応用例
小売・外食
  • 販促活動の最適化
  • 勢力圏の分析
広告・販促
  • キャンペーンの効果測定
  • サーキュレーションの調査
報道・メディア
  • 道路・施設の混雑状況把握
  • 各種産業情報の分析
不動産・デベロッパー
  • 不動産需要の把握
  • 不動産周辺の通行量把握
官公庁・自治体
  • 商業地や観光地の人流計測
  • 緊急時における人流の把握

ここでは、実際に人流データを活用する際の流れを簡単に解説します。

 

3-1.データの検討

まずは、目的を達成するために人流データ活用が手段としてふさわしいか、活用する場合はどの計測・集計加工方法・サービスを利用するかを検討します。

STEP:1 人流データの用途・利用目的を検討する
人流データは、ただデータを取得しただけでは意味がありません。例えば「歩行者通行量調査の代わりに利用したい」「緊急時に備え避難シミュレーションに利用したい」など、データの使い方を明確にします。
STEP:2 人流データに必要な要件を整理する

人流データの用途・目的に応じて、どの事項がどれだけ必要になるか整理しましょう。

  • 取得する人流データの種類
  • データを取得するエリアや設置箇所
  • データの取得期間・更新頻度・情報の鮮度
  • データを取得する相手の属性
STEP:3 データの取得方法を検討する

整理された要件をもとに、計測地点の環境やデータの取得コストなどを考慮し、どの方法で人流データを取得するか検討します。

【データ取得方法の例】

  • GPS
  • Wi-Fi
  • ビーコン
  • 通信基地局
  • センサー
  • カメラ
STEP:4 利用する人流データを選ぶ
利用可能なデータ取得方法の中から、目的に合った情報を得られる人流データを選びましょう。選択肢を1つに限定せず、複数の方法を組み合わせて利用することもできます。

出典:国土交通省不動産・建設経済局情報活用推進課(政策統括官付)「地域課題解決のための人流データ利活用の手引きVer1.0」

 

3-2.データの取得・作成

どの人流データを利用するかが確定したら、データの取得・作成に取りかかりましょう。人流データを取得する際は、個人情報やプライバシーへの配慮が必須です。データの取得方法や活用方法に応じて、各方面への告知や手続きを行います。

自らデータを取得する場合は、設置箇所の選定や条件の確認に加え、法的な手続きデータ取得にかかわる協議が必要になるため、計画には余裕を持たせなければなりません。


※データの取得・作成については下記出典:国土交通省不動産~の手引きを必ず読み、注意事項を厳守した上でお取り扱いください。

出典:国土交通省不動産・建設経済局情報活用推進課(政策統括官付)「地域課題解決のための人流データ利活用の手引きVer1.0」

 

3-3.データ分析

取得した人流データは、用途・目的に応じて必要な形に加工し、分析します。データ分析の方向性としては、下記のような方法が考えられるでしょう。

【分析方法の例】

  • 各種ツールでグラフや地図上の色塗り図へ可視化し、分析する
  • 年月日・時間帯別に分析する
  • 人流データの取得地点間で比較・分析する
  • 年齢・性別などで分けて分析する
  • 地域の回遊性を分析する
  • 他のデータと組み合わせて分析する

データ分析を行う際は、専門家の高度な分析力に加え、該当エリアの関係者から生の意見や実感に基づいた解釈を取り入れることも大切です。


※データの取得・作成については下記出典:国土交通省不動産~の手引きを必ず読み、注意事項を厳守した上でお取り扱いください。

出典:国土交通省不動産・建設経済局情報活用推進課(政策統括官付)「地域課題解決のための人流データ利活用の手引きVer1.0」

 

3-4.データ提供・管理

取得・分析した人流データは、個人情報が含まれているか否かによって扱いが異なるため、注意が必要です。個人情報が含まれている場合、安全管理措置などの対策を講じなければなりません。個人情報保護法に従って、適切に対応しましょう。

人流データが個人情報に該当しないのであれば、取り扱いの自由度は比較的高くなり、条件次第では第三者への提供が可能です。ただし、取得したデータの権利をどこが持っているか、二次利用についての規定があるかによっても管理方法が異なります。

また、他のデータと組みわせることによって個人情報に該当する可能性がある場合、本人の同意が取れていなければ提供できません。


※データの取得・作成については下記出典:国土交通省不動産~の手引きを必ず読み、注意事項を厳守した上でお取り扱いください。

出典:国土交通省不動産・建設経済局情報活用推進課(政策統括官付)「地域課題解決のための人流データ利活用の手引きVer1.0」

 

まとめ

人流とは、言葉の通り人々の動きや流れを意味します。人流をスマートフォンなどの機器を介して分析・把握することで移動する時間や場所、各エリアでの滞留時間といったデータを収集できます。人流データを活用することで、鮮度の高い情報が入手でき、過去のデータとの比較検証を容易に行える点がメリットです。

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