位置情報マーケティングとは?活用事例も紹介

マーケティングにユーザーの位置情報を活用することで、自社に求められている商品・サービスは何か、また必要とされるサポートについて知ることが可能です。自社の売上を拡大させることに役立つ他、集客コストを抑えられるなど、さまざまなメリットがあります。

当記事では、位置情報マーケティングについて、概要から注目されている理由、位置情報を取得する技術の種類までを解説します。さらに、位置情報を活用したマーケティング手法の事例やツールを導入する際の注意点などもご紹介しますので、位置情報マーケティングの導入を検討している方は、ぜひお役立てください。

 

1.位置情報マーケティングとは?

位置情報マーケティングとは、モバイル端末などを介して取得した不特定多数の人の行動履歴を活用して、店舗の集客やユーザーの傾向を把握するのに役立つ施策です。位置情報マーケティングを取り入れることで、顧客となるユーザーが多く住む地域やサービスの利用が多い時間帯、前後の移動・行動傾向などを把握できます。

位置情報とは、スマートフォンやカーナビなどがデータの送受信をした際に記録される、ユーザーの現在地情報です。例えば、検索サイトなどで「近くの店舗を探す」といった機能を利用する際にも、位置情報は提供されています。

ただし、あくまでもユーザーが位置情報提供に同意した場合にのみ記録されるため、あらゆる人の動向をくまなく網羅できるわけではありません。また個人特定に至るようなデータや、同意のない個人情報は提供されないシステムとなっています。

 

1-1.位置情報マーケティングが近年注目されている理由

位置情報の技術自体は以前から利用されていましたが、マーケティング施策として注目が高まっている理由は主に下記の4つです。

  • 位置情報データの精度と分析技術が向上している
  • 集客コストの合理化が図れる
  • 地域の特性に合った施策を講じられる
  • 最適なタイミングで情報を発信できる

モバイル端末の普及により位置情報サービスの利用者が増え、それに伴ってデータを取得する設備の強化や情報分析の技術向上も進みました。精度の高い位置情報が入手でき、ターゲットに対するアプローチが効果的・効率的に行えるようになったことで、マーケティングに活用される事例が増えています。

 

2.位置情報を取得する技術の主な種類

位置情報を取得する技術には、いくつかの種類があります。技術によって特徴や使用するユーザー層が異なるため、位置情報活用の目的に応じて使い分けることが大切です。

位置情報の取得に用いる主な技術として、下記の4種類が挙げられます。

  • GPS
  • Wi-Fi
  • ビーコン
  • 通信基地局

一般性は低いものの上記以外にも、IPアドレス・Cookie・IDカード・監視カメラなどから位置情報を取得することも可能です。ここでは、位置情報の取得に利用される主な技術4種類の概要と特徴を紹介します。

 

2-1.GPS

GPSは、上空の人工衛星より計測する位置情報データを指します。粒度も細かく、建物単位の分析も可能です。また、任意の建物を指定した細やかな分析も可能となります。フロア毎の分析はできず建物全体の把握となり、地下の計測は難しい場合があります。

カーナビが代表的で、近年はスマートフォンをはじめとしたモバイル端末やスマートウォッチ、デジタルカメラなどさまざまな機器に搭載されている技術です。

 

2-2.Wi-Fi

Wi-Fiは、無線LANシステムの1つです。Wi-Fiルーターをアクセスポイントとして設定すれば、スマートフォンやパソコンなどの対応端末がWi-Fiを介してインターネットに接続できます。

GPSの電波が届きづらい建物内や地下でも利用でき、比較的短時間で位置情報を取得できることが強みです。ただし、1つのホットスポットでカバーできる範囲が狭く、アクセスポイントが少ないと情報の精度が落ちる傾向があります。また、ユーザーが対応端末を持っていても、Wi-Fi機能をオフにしていれば位置情報取得が難しいことがあります。

 

2-3.ビーコン

ビーコンは、スマートフォンなどに搭載されたBluetooth機能を利用したシステムです。対応するアプリをインストールした端末が、一定間隔で発信される固有のID情報を受信することでユーザーの位置情報が記録されます。

発信機器の設置が簡単な上、限られた範囲のユーザーへピンポイントで信号を発信できる技術です。反面、効果範囲が狭く、他の電波から干渉を受けやすいというデメリットもあります。

 

2-4.通信基地局

通信基地局とは、携帯電話やスマートフォンと通信(通話)を行うために各キャリアが設置した通信設備を指します。端末で通信・通話を行った場所や、通信を行うために定期送信する所在情報をメッシュ化して位置データが提供されます。

一般的に、分析対象ユーザー数が多く、基地局の電波が届く場所であれば、建物内や地下でも位置情報取得が可能なケースが多いです。ただし、カバーできるのはキャリアが基地局を整備している範囲に限られる上、詳細な場所の特定は苦手な傾向にあります。

 

3.位置情報を活用したマーケティング手法の事例

位置情報を活用したマーケティング活動にはさまざまな手法があり、有用性は工夫次第です。ここでは、「小売・飲食・サービス」「不動産・デベロッパー」「官公庁・自治体」のケースを例に挙げて活用方法を紹介します。

小売・飲食・サービスの例

小売・飲食・サービス業の場合、広告配信をはじめとした販促活動を最適化するための施策や、集客効果の検証に位置情報を利用できます。来店者の多いエリアを抽出し店舗との位置関係や距離、来店率を比較すれば、現状維持で問題ないエリアと販促を強化すべきエリアのあぶり出しが可能です。

また、店舗ごとのユーザー獲得状況を可視化することで、チェーン店や競合店舗とのカニバリ状況や各店舗の勢力圏を把握できます。自社の勢力が及んでいないエリアへの新規出店を検討したり、競合店舗とのシェア争いで力を入れるべきエリアを把握したりする場合に役立つでしょう。

商圏分析ツール KDDI Location Analyzer の小売・飲食・サービスでの活用シーン

不動産・デベロッパーの例

不動産・デベロッパーの場合、保有している・保有を検討している不動産の需要を把握するために位置情報を利用できます。例えば、保有する施設の来訪者数や主な来訪者層を割り出せば、誘致すべきテナントの選定や提案時のプレゼンテーション資料として有用です。

また位置情報を活用することで、施設周辺の道路通行量の調査を効率化できます。主要な動線の人流データを把握できれば、誘導要員の配置場所や誘導看板の設置場所の検討もスムーズです。

商圏分析ツール KDDI Location Analyzer の不動産・デベロッパーでの活用シーン

官公庁・自治体の例

官公庁・自治体の場合、商業地や観光地の実質的な人流データの計測に位置情報を利用できます。時間帯による人数の変動や訪問者の年代・性別など、商業振興や観光振興に必要なデータの取得にかかる手間や時間を大幅に省略することが可能です。

また、避難時の人の流れを事後的に可視化し災害時の人流予測などに活用することで、減災や防災につなげることも可能です。避難や支援の対策を練る際の判断材料の1つに採用できるでしょう。

商圏分析ツール KDDI Location Analyzer の官公庁・自治体での活用シーン

 

4.位置情報のマーケティングツールを導入する際の注意点

位置情報を使ってマーケティングを行う場合、目的や対象に応じて使用する位置情報データの特徴を考慮する必要があります。

マーケティングツールによっては次のような問題を抱えている場合があるため、どのツールを選ぶかは慎重に検討しましょう。

  • データを収集・計測する頻度が少なく、更新周期が長いため情報の鮮度や粒度が落ちる
  • 通行動線・時間帯別の滞留者などを把握するには、現地調査が必要となる
  • 競合相手の来訪者情報や施設間の併用状況の把握が難しい

 

まとめ

位置情報マーケティングとは、モバイル端末などを通して取得した人の行動履歴を活用し、ユーザーの傾向を把握することに向いている施策です。ユーザーの傾向や行動履歴が分かると、ターゲットに対して効果的かつ効率的なアプローチで店舗への集客を図ることができます。

位置情報を取得する主な技術として、GPS、Wi-Fi、ビーコン、通信基地局の4つが挙げられます。それぞれ特徴やユーザー層が異なるため、目的に応じて使い分けましょう。位置情報を活用したマーケティング手法は、工夫次第でさまざまな効果をもたらします。

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