そのとき、人はこう動いた。人流データでみる街
新型コロナウイルスの感染拡大で、
私たちの生活スタイルは
大きな影響を受けました。
在宅勤務、休校、県境をまたぐ移動の自粛……。人出が減った街では大打撃を受けたビジネスも少なくありません。この2年近く、人はどのように動いていたのでしょうか。携帯電話端末の高精度なGPS位置情報データを用いた「KDDI Location Analyzer」でコロナ禍の人の動きを分析します。
タップするとそれぞれの街の特長をご覧いただけます
SECTION.01 首都圏の人流データでみるコロナ禍
人が減った街 変わらなかった街
2021年9月。東京都や大阪府など全国の広い範囲で緊急事態宣言が発令されていたが、一方で新型コロナウイルスの新規感染者数は減少に転じたこの時期、首都圏の人出はどのくらい減っていたのだろうか。2019年9月から2021年9月までの2年間、品川、新宿、新橋、船橋、大宮、武蔵小杉の6カ所で、2019年9月と比べた増減率の推移を調べてみた。各エリアとも、2020年4月から5月は急激に人出が減少したが、その後は回復に向かっている。ただ、詳細に見てみると、エリアによる差がみえてきた。
推移(月単位)エリア来訪者増減率
都心オフィス街と郊外で減少率に差
特に減少率が大きい品川は総人数が5割以上減っただけでなく、内訳をみてみると勤務者が7割近く減少していた。調査対象である品川駅東側は大企業のオフィスが多く、この2年でテレワークへの移行が進んでいることをうかがわせる。新橋も2020年6月以降の回復は鈍く、21年9月時点で2年前に比べ4割減となっている。一方、オフィスエリアと住宅地が近接する武蔵小杉(川崎市)や、大宮駅周辺(さいたま市)は東京都心のオフィス街や繁華街より人出の減少率が小さく、人出が緩やかに回復していることがわかる。
武蔵小杉にみる「住宅地近接」の強み
人出が軒並み大幅に減るなか、強みを見せたのが武蔵小杉だった。川崎市中原区にある武蔵小杉はJR線と私鉄が交差する駅で、近年タワーマンションの建設と商業施設のオープンが相次ぎ、一気に首都圏近郊の人気の街に躍り出た。一方で周辺にはオフィスビルも多い「住宅地近接」の街でもある。
時間別×属性(居住者・勤務者・来街者)の増減
居住者や来街者、日中は2年前とほぼ変化なし
2021年9月の武蔵小杉の人流を時間帯別にみると、居住者と来街者の人数が2年前とあまり変化がなかったことがわかった。勤務者の人数は大きく減っている一方、居住者は22時以外は軒並み増加している。また、来街者も10時から18時までの時間帯で増加。この結果、武蔵小杉エリアは都心のオフィス街や繁華街に比べ、全体の人数の減少率が小さくなった。
距離でブレーキ 新宿は遠方からの来訪者が減少
都心の人出が減少しているのは、誰が「来なくなった」からなのか。新宿の来訪者の居住エリアを調べてみた。新宿に「来なくなった」街のトップは埼玉県所沢市。神奈川県相模原市南区、横浜市青葉区が続いた。一方、新宿への来訪が多い街は、東京都中央区や渋谷区、港区、葛飾区など23区がならぶ。
来なくなった人のエリアランキング | ||
---|---|---|
1 | 所沢市 | - 54% |
2 | 相模原市南区 | - 53% |
3 | 横浜市青葉区 | - 50% |
4 | 文京区 | - 48% |
5 | 荒川区/西東京市/横浜市 | - 46% |
変わらず来てくれた人のエリアランキング | ||
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1 | 中央区/渋谷区 | - 9% |
2 | 港区 | - 11% |
3 | 葛飾区 | - 17% |
4 | 豊島区 | - 18% |
5 | 新宿区/調布市 | - 20% |
「ステイホーム」定着?近くの街で過ごす傾向か
コロナ禍で政府は再三にわたり、ステイホームと県境をまたぐ移動の自粛を呼びかけてきた。新宿への来訪が大きく減っている街は、首都圏のなかでも新宿から距離が離れているエリアが多い。来訪者の減少幅が小さかった武蔵小杉の例と合わせて考えると、各エリアの商圏がコロナ前より縮小し、通勤客も買い物客も「近くで過ごす」ライフスタイルが浮かび上がる。
SECTION.02 首都圏6地点の人流を深掘り
KDDI Location Anlyzerでわかる来訪者データのまとめ
KDDI Location Analyzer では、人流をもっと詳細に“深掘り”することもできる。コロナ前の 2019 年9月とコロナ禍で緊急事態宣言が発令中だった 2021 年9月では、首都圏の6地点で、性別や年代といった属性による違いはあったのか?各地点を選択して詳細な人流データを確認してみよう。
SECTION.03 関東45駅のデータ公開中!
距離でブレーキ 新宿は遠方からの来訪者が減少
KDDI Location Analyzer
無料でデータ公開中
新型コロナウイルス感染拡大防止を目的として、関東45駅の通行人状況をご覧いただけます。
主要駅
今回の分析にはKDDI Location Analyzer(※)のデータを使用。商圏分析や来訪者の属性、時間帯別傾向などを、店舗や施設の形に小さく区切ったエリアでも分析できるため、すぐ近くに多く人が集まる施設などがある時も、指定した施設の来訪者に絞ったセルフ分析ができるツールとなっている。
※KDDI Location Analyzerでは、KDDIがauスマートフォンユーザー同意のもとで取得し、誰の情報であるかわからない形式に加工した位置情報データおよび属性情報(性別・年齢層等)を活用しています。属性情報は国勢調査等を基に拡大推計処理を実施しています。
データ鮮度が良い
鮮度の高いデータをセルフで回数制限なく分析可能。過去約2年前から直近数日前までの全国分データを保持。
人の動きを把握できる
道路単位で自動車、徒歩等の通行者を日単位、時間単位で調査が可能。
施設来訪者の居住地が
把握できる
自施設の来訪者の居住地に加え、競合施設の来訪者の居住地も調査が可能。