2021/10/04(月)

新規オープンの商業施設の評価を、位置情報分析で読み解く

商業施設の出店に伴い、 周辺の競合施設の客足や勢力図はどう変化した?

コロナ禍において、出退店状況も大きく変化している昨今。KDDI Location Analyzerのユーザー様からも「新店オープンの影響や、自店舗・競合店舗への影響を把握したい」というご相談を多く受けております。
今回は、商業施設オープンに伴う新店や周辺店舗の来訪者の変化を知る方法を、具体的な調査レポートを基にご紹介いたします。

分析概要

〇分析対象
2020年12月にオープンした商業施設Aと、その周辺の商業施設B,Cを分析対象とし、ジオフェンスを設定。各施設への来訪者を分析しました。

〇集計の内容および条件
3つの商業施設において、下記の内容を集計しました。

(1)推定来訪者の日別推移
条件:2020/11/1~2021/1/31、各日8:00~22:00に15分以上滞在した人

(2)平日・祝休日別の来訪者層
条件:2020/12/1 – 2021/1/24、 各日8:00-22:00 に15分以上滞在した人

(3)3地点来訪者居住地分析…町丁目別に、その地域に住む人がどの施設に最も訪問したか
条件:オープン前(2020/11/1~11/30)と、オープン後(2020/12/1~12/31)、オープン1か月後(2021/1/1~1/31)において、各期間とも8:00‐22:00に15分以上滞在した人

分析結果

(1)推定来訪者の日別推移から、来訪者の量を比較

新店オープン直後は施設Aの客足が大きく伸び、施設B,Cは微減。
オープンから1か月経つと、施設Aの客足も落ち着き、施設Bが首位、AとCが拮抗する傾向が見られました。

このように施設毎の来訪者のボリュームを時系列で図ることで、
新規出店による周辺施設の客足の変化が分析できます。

(2)平日・祝休日別の来訪者層から、来訪者の質を比較

平日と祝休日別に、施設A,B,Cの来訪者の性別や年代を把握可能。
施設Aはやや若い世代、施設Bはシニア層、施設Cは女性層の来訪が多い傾向が見て取れます。
また、どの施設とも男性30~50代の来訪は平日より祝休日のほうが多く、女性はどの世代も曜日による差はあまり見られない傾向に。

このように、施設毎の客足の属性を見ることで、施設毎の客層が分析できます。

(3)3地点来訪者居住地分析

[勢力図の変化① 新店オープン前(2020/11)の施設B,Cの集客エリア]

来訪者の居住地分布を地図で可視化。町丁目別に、その地域に住む人がどの施設に最も来訪しているかを図示しています。また、各施設の来訪者数や、店舗の併用率などもグラフで確認できます。

[勢力図の変化② 新店オープン後(2020/12)の3店舗の集客エリア]

新しくできた施設Aは北側の商圏を広く獲得。遠方からの来訪もあり、施設Bより多く集客できているといえます。また、施設AとBの併用率が高く、線路を挟んで右と左で商圏が分かれていることが見て取れます。

[勢力図の変化③ 新店オープンから1か月後(2021/1)の3店舗の集客エリア]

施設Aはオープンから少し時間がたち、来訪者の数も施設Bと同程度に。やや地元密着型の集客にシフトしています。遠方からの来訪が減少しているのは緊急事態宣言の影響もあるかもしれません。

【参考】

[勢力図の変化④ 直近(2021/8)の3店舗の集客エリア]

参考までに、直近の勢力図もみてみたところ、施設Aは出店直後に見られた遠方からの来訪が落ち着き、さらに地元集客型にシフトしています。オープンから半年以上が経ち、足元の顧客からの需要をしっかりと確保するフェーズに来ていると推測できます。

[直近までの来訪者の比較]

施設Cが引き続き多くの来訪者を集めている傾向が見て取れます。
各社とも、緊急事態宣言の影響はそこまで大きく出ておらず、堅調に推移しています。

このように、自施設・競合施設を含む複数の施設における来訪者の数や属性の傾向を
時系列でみることにより、

・競合を意識した集客施策の検討
・データに基づく客層に沿った品揃えの検討
・時流(コロナ禍等)が施設に及ぼす影響の把握など

施設や店舗の運営に多くの知見を得ることができます。

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