さいたま市のスマートシティ構想をはじめとする 街づくり計画の施策実現に人流データを活用
導入前の課題と経緯について
野口様:
街づくりの計画やプランの作成にあたりましては、現状を把握することが非常に重要となります。これまでは、例えば交通量調査や人流データの収集は、各部署でコンサルタントに業務委託していたのですが、費用面の負担もありましたし、直近のデータがなかったため、上長に提出する説明資料の中でエビデンスのある数値を使えない状況にありました。
そんな中、業務委託のコンサルタントが分析にKLAを使っていることを知り、こういう形でデータを収集できるのだと興味を持ったことが、導入の発端でした。
西川様:
これは当然のことなのですが、エビデンスやデータなどの根拠に基づく街づくり計画が、ますます重要になっています。現在、われわれの部署ではスマートシティ構想を進めているのですが、さまざまな施策をスピード感を持って進めていくためには、施策を実行する前に、ある程度の根拠を持って最適な方法を提案する必要がありました。
採用の決め手について
野口様:
他社の類似したサービスも検討したのですが、地域を限定した細かい分析ができることに加えて、分析方法も幅広いところに魅力を感じましたし、2日前までの直近のデータが取れることも大きなポイントでした。また、1アカウントで複数の職員が操作できる使い方ができるのはKLAだけだったので、費用面に関しても無理のない範囲でした。そういったところも加味して契約させていただきました。
取りまとめ役である都市総務課がKDDIと契約させていただいていますが、全庁的に職員の誰もがKLAを活用することを想定しての導入となります。
来園者がピークを迎える時期に発生する与野公園の 駐車場渋滞の解決に向けて人流データを分析
具体的な活用方法を教えてください
野口様:
さいたま市の浦和や大宮といった都心、副都心は人が集積している場所なのですが、その地域にどのぐらいの人口が滞留しているのかは、街づくりを進めるうえでも注視している点でもあります。都市総務課では、その地域のデータを収集して市役所のホームページ上にオープンデータ化するという目的が一つありました。
西川様:
それに加えまして、先ほどお話ししたようにスマートシティ構想を進めている中で、具体的な取り組みとして、電動アシスト自転車をはじめとした新型のモビリティで移動していただく「HELLO CYCLING」というシェアサイクルを導入しています。このシステムを有効活用するために、利用者の動きを確認することにもKLAを利用しています。利用者がどこから来て、どこで自転車を降りるのかがわかれば、市民のニーズの把握にもつながるので、最適な場所に自転車のステーションを設置することができます。
もちろん、KLAの活用はこれだけではありません。都市公園課では別の目的でKLAを使ったデータの分析を行っています。
都市公園課の活用例を教えていただけますか
滝田様:
都市公園課では、ピンポイントで与野公園の人流を調査しました。期間としては2023年5月から2024年の8月までとなります。この与野公園は桜とバラの名所として有名なので、見頃の時期になると県外からも人が訪れて、すごく混み合うんですね。その際、公園内の無料駐車場が満車となって、入れない車が道路に並ぶ状況が起きてしまうと。混んでいるのは知っていましたが、実際に数字化してみたときにどうなのだろうかと。駐車場渋滞を問題化する前に、まずは人流を調べるためにKLAを活用しました。
来園者の人数は時期的な波があるのですが、桜の開花時期や「ばらまつり」が行われる5月の来園者数が突出していることがわかりましたし、この時期は公共交通機関や自動車で来園する人の割合が多いことも判明しました。これらのデータを駐車場問題の解決に向けた施策の検討に使用したわけです。単に駐車場を拡大するとか有料化する方法だけではなく、他の選択肢も検討するためにKLAを活用させていただきました。KLAは直近のデータだけではなく、何年もさかのぼって人流データを収集できるので比較検討が可能ですし、根拠のあるデータとして提示できるので便利に使わせていただいています。
今、公園の駐車場をリニューアル工事しているところなのですが、完成して終わりではなく、工事後にもデータの分析を行い、改良すべき点があれば再度検討する。その場面でもKLAを活用することになると思います。
その他、具体的な活用例があれば教えてください
野口様:
今のところ、この課題解決に向けた施策の検討に活用するというより、新たな事業を検討するために、これまでの経験や肌感覚だけに頼るのではなく、数値で確認するために利用しているケースが多いかと思います。一方、他部署では、2025年3月に開催される「さいたまマラソン」の警備計画の立案に際して、どの場所に警備員を配置したらいいかを調べるためにKLAを活用したと聞いています。
KLAの操作で戸惑われた点などはありませんでしたか?
滝田様:
事前に研修を受けさせていただきましたし、そんなに複雑な操作ではありませんので個人的には意外と簡単に使えたなという印象ですね。
野口様:
私どもが主体となって、他部署の方に対してKLAの説明会を行っているのですが、「使いやすい」という声を多く耳にしています。それに加えて、今まで人が行っていたカウント業務などをKLAでデータに置き換えることができるので残業も減るし、経費削減にもつながるという意見も多いですね。より多くの職員がKLAを操作できるようになれば、さらなる業務効率の改善につながるのではないかと思っています。
【今後の活用について】
西川様:
スマートシティ構想をはじめ、今後の街づくりに際してKLAは重要なツールになっていくと思います。庁内の誰もが普通に操作できるようになることがKLA活用の推進につながると思っていますので、職員のスキルアップも重要になると考えています。
野口様:
都市計画部の業務で言うならば、防災対策において避難路の検討にもKLAを活用できるのではないかと考えています。地域の人向けに防災の勉強会を実施する際には、避難経路の検討もテーマの一つになるのですが、そこに人流データを重ね合わせることで、より根拠のある経路を示すことができるかなと思っています。