データに基づき、自らの考えを提示する力を養う
未来予測が難しい現代においては、状況を正確に把握し、戦略的に問題を分析・解決することが極めて重要です。
信州大学の全学横断特別教育プログラム「ストラテジー・デザイン人材養成コース」では、学部や学年を越えて、リサーチ・リテラシー、ロジックモデルなど「データ」を扱う力や戦略策定、事業評価などを学びます。さらに、企業や行政と連携して現場に入り、分析や戦略策定を実践します。
このたび、「ストラテジー・デザイン人材養成コース」の第7回(2024年11月11日)にてKLAを使った授業を実施させていただきました。
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授業のねらい
- 戦略や調査のリテラシーを身に付ける
- 自分のやりたいこと、やらなければならないことを効率的・効果的に達成するため実践力(経験知と実行力)を獲得する
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「未知の領域や複雑な問題を分解・整理、構造を把握する → 取り組むべき課題に対して仮説・検証プロセスを設計する → データに基づき、自らの考えを提示する力を養う」ことがゴールとなります。
KDDI Location Analyzerの活用
はじめに、位置情報やKLAに関する概要と分析にあたっての基礎知識をご説明。
KDDIのGPS位置情報データの特長、メッシュコード、拡大推計、データ取得のお客さま同意などついても解説しました。
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続いてKLAのハンズオン研修です。
前半のワークは信州大学周辺のエリア分析を実施。各自のPCでKLAを操作して通行人口や属性を調べました。
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ある程度操作を理解したところで、信州大学近くの曙橋の交通量を調査し、結果を発表していただきました。交通量グラフが他と比べてとても高い日が1日あり、プロ野球の試合があった日だとわかりました。
後半は松本市の人気観光地である上高地の来訪者属性や居住地分析を行いました。
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年代別の分析では、20代と70代の来訪者が多いという結果に。「20代は時間と体力があり、70代は時間とお金があるから来訪者が多い」「20代はSNS映え狙いで増えている」などの意見がありました。訪問回数や、訪問時期の結果から、リピーター向け企画や閑散期のイベントなど、データを根拠に様々な施策立案が可能になることを理解いただきました。
他に、近隣観光地、松本城、奈良井宿との比較や併用分析も実施して結果を共有しました。
最後に、KLAは企業や自治体で実際どのように活用されているかという事例をいくつかご紹介し、イメージをより具体的にしていただきました。
(例)
・GPS位置情報の活用で、屋外広告を設置する前後のロケーションの価値を評価。お客さまへのロジカルな提案を実現している企業さま
・アンケートを組み合わせて利用実態を把握し公園活性化プラン(素案)を作成した自治体さま
(詳細)
導入事例 | 商圏分析・位置情報分析ツール KDDI Location Analyzer (k-locationanalyzer.com)
受講後アンケート結果より
授業の最大の「きづき」を一言で表現
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「データの考察経験の重要さ」「携帯の位置情報提供は有効活用されている」「人の動き」「これからどうデータを使っていくか」「人流データと他のデータを組み合わせることが重要」「データサイエンスは面白い」「技術の進歩」「ここまで迫るかビッグデータ」「情報の価値」「身近なデータを視覚的にみることができるありがたさ」「人流データを用いて戦略を考えること」「個人情報データの危険性」「データなどは組み合わせることで効果がある」「情報を正確に読み取る」「データの見方」
学生さまのお声
「これまで戦術を立てるときは、自分からの視点、他者からの視点といった想像の中で考えたことを基にすることが多かったが、実際に人の流れやその人の属性を知ることが正確に知ることができれば、より具体的にターゲットを絞ることができたり、絞ったターゲットに効率的にアプローチすることができたりすると気づいた。また、人流データを用いることで、策を講じる前と後で人の流れがどのように変化したのか、具体的な数値をもって結果を見ることができるので、この策がどれほどの影響を及ぼしたのか明確に知ることができると思った。」
「私は今まで携帯の位置情報を携帯会社へ提供することに対してなんとなく良いイメージは持っていなかったが、今回の講義を通して人流データが官民問わず有効活用されているのを学んだため、これまでの自分自身のような考え方の人々にもっと人流データの存在とその活用先、そしてその位置情報提供元を知ってもらう必要があると思った。そうすることでより正確な人流データを得られ、官民の間で有効活用されることで社会をより良くしていくことができるのではないだろうかと考えた。」
「テーマを設定すると様々なデータをすぐに見ることができ、とても興味深かった。しかし、KDDIの方もおっしゃっていたが、データをすべて正しいものと認識してはいけないというのが、とても勉強になった。そのデータの母集団を見て分析することが大切だと学んだ。サイネージの私が入っているグループのテーマでこのようなデータ収集が大きくかかわってくると思うので、そのデータをどのように使用し、正確に読み取るかに重点を置いて活動していきたいと思った。」
授業主担当さまより
本授業は、戦略的志向とEBPM(Evidence Based Policy/Plan Making)のリテラシー獲得を目的としています。今期はデジタル・サイネージの活用をテーマとしており、KLAはまさに最適なツールであると感じました。
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信州大学
副学長 林 靖人 様
弊社担当より
林副学長から、大学では社会でどのようにデータを活用しているのか、リアルに伝えることが難しいとのお悩みを持たれていることを伺い、KDDIとしてできることを考えた時にKLAの提案に行き着きました。信州大学様からご賛同を頂き、全面的な協力体制を作っていただきました。データの性質からハンズオン形式でデータに触れていただき、学生の皆さまには普段得られない体験と、産学連携の効果的な取り組みができたと思います。KDDIとしても、今回の取り組みを他の教育機関にも横展開できる好事例とできればと思います。
アンケートでは、データの役割や見かた、活用のしかたについて理解が深まったという、嬉しいコメントをたくさんいただきました。こちらこそ、真剣にご参加いただき、おかげさまで楽しくお話させていただきました。林副学長、柳澤様、学生のみなさま、素敵な機会をいただき、本当にありがとうございました!
KDDIでは、学校におけるデジタル人材育成のためのKLA導入や出張授業などもご支援しています
学校現場での活用のヒント
■実践的なプロジェクト学習
学生が実際の問題解決に取り組むプロジェクトベースの学習を導入し、デジタルツールを活用して実践的なスキルを磨く。
■教員の研修
教員に対して最新のデジタル技術や教育手法に関する研修を行い、効果的な指導ができるよう支援する。
■コラボレーションとネットワーキング
学校と企業が連携し、学生が実際のビジネスや社会の現場に触れる機会を提供する。
ご興味のある方はぜひ下記よりお問い合わせください。