人流を柔軟に分析できる環境を整え グループ全社で活用できる 位置情報データ基盤の実現を目指す。

  • デジタルプラットフォーム マーケティンググループ N様

    2023年3月31日現在222社5法人(株式上場会社4社)、2022年度の営業収益は連結で9312億円であり、交通事業、不動産事業、生活サービス事業、ホテル・リゾート事業など、生活に密着した様々な事業を幅広く展開している東急グループ。グループ全体の位置情報分析を担う東急株式会社 デジタルプラットフォーム マーケティンググループのご担当者様に、KDDI Location Analyzer(以下、KLA)の活用についてお話を伺いました。

  • 会社

    東急株式会社

  • 業種

    不動産・ディベロッパー

  • 関連サービス

    • KLA 国内居住者版

  • 課題

    • 東急グループの会員データやポイントデータだけでは、顧客や施設全体、新店開発エリアの深堀分析をしていくことが困難でした。
  • 成果

    • 東急グループの施設はもちろん、競合施設の商圏範囲や来訪者全体の属性が分かり、モールや店舗、エリアの開発時の参考になりました。

位置情報の活用について

私の所属する部署は、データ基盤強化とそれに伴うデータドリブン経営推進を目的に、当グループ共通ポイントの各種データを使用した分析、利活用の提案を行っています。
その中で、東急グループで導入しているポイントカードなどの東急グループ保有データだけでは全体を見きれていないという課題もありました。

東急グループ保有データでは、当グループ施設でポイントカードを提示しているお客様の購買情報や居住地等のデータは取れますが、非会員の方や、会員でも提示がない方のデータは取れません。広域/地域/近隣といった把握すべき様々な商圏の中で、捉えられる層が一部ということになります。そこで、位置情報でポイントデータをうまく補完できないかと考え、他社のレポート共有型サービスを活用していました。

そのレポートも定点観測として非常に有用だったのですが、開発案件などは案件ごとにいろいろな角度での分析が必要となり、より深掘りしたいという分析ニーズが出てきました。それを満たすサービスということで、定額で何度でも自由に分析できるKLAを追加で導入しました。

グループ全体の幅広い位置情報分析ニーズに対応するには 何度でも、スピーディに分析できるツールが必要だった。

KLAに着目したきっかけは?

位置情報を活用したいという思いは各部門、グループ各社であるものの、それぞれで導入すると非効率的なため、我々マーケティンググループが主体となって導入し、各部門、各グループ会社からの依頼に応えていくようなスタイルを取るほうがデータ基盤の共通化も図れます。各所の幅広い分析要望に対してスピーディに対応できるよう、KLAのようなセルフ分析型の位置情報分析ツールに着目しました。

KLA導入の決め手は?

一番の決め手は、サポ―トの手厚さです。
営業やサポートの方とのやり取りもスピーディですし、オンラインセミナーのナレッジ共有も小まめに行っていただけるので、困ったことがあってもすぐに解決できました。
他にも、大手キャリアのスマートフォンの位置情報(※)を基にしているという信頼性もあります。また、2018年からのデータが入手でき、コロナ禍前後での人流比較ができる点も強みと感じます。

簡易な操作性も評価しています。
“操作できる=いい分析ができる”ではないですが、操作が難しいと活用までのハードルが高くなるため、誰でもすぐに使えるのは良いですね。
分析機能面でも、エリアでの分析や複数の施設を指定した分析など、幅広くかつ丁寧に調べられる点は重宝しています。

6地点来訪者居住地分析 ※東急様の実際の分析画面ではありません。

基本情報として押さえたい競合施設と東急グループ保有施設の 商圏サイズや客層や客足の違いが、すぐに分かる。

どのような業務にご活用ですか?

大きく2つあります。
1つ目は、商業施設やスーパーマーケットの新規出店に向けた参考情報としての活用です。
候補地周辺の人流の属性分析や、主要動線の人流分析、あとは競合他社があるスポットの来訪者属性分析等を行っています。

東急ポイントデータは、加盟店で、かつ東急ポイント会員の方の購買データしかとれないため、出店候補地付近にデータが取れる環境が無いと、根拠となる数字が見られない状況でした。KLAを使えば来訪者の属性や推定居住地等がすぐに取れます。

実際に店舗を作る際にも活用しています。店舗建設時に敷地内の道路幅等も決めるのですが、人流のボリュームを参考にしています。お店の正面をどちらの道に向けるかといったことも、店前の人流を把握することで、エビデンスを以て決めています。

主要動線分析 ※東急様の実際の分析画面ではありません。

2つ目は、渋谷をはじめとしたエリアの開発に関する参考情報としての活用です。
渋谷周辺の施設や、都内主要都市の人流の属性、来訪者居住地の分析等を行っています。競合店舗・施設周辺の人流については、今まで把握しきれていませんでした。他社の施設と東急グループ保有施設の商圏範囲や来訪者の属性の違いは、基本情報としては捉えておきたいところ。KLAの導入で、必要に応じてすぐに調べることができるようになりました。

ツール導入の評価について

当グループは幅広い事業を行っており、様々な依頼に対応が必要となっています。KLAは定額制で何度でもレポートを出せるため、複数部署の分析を行うにしても、1つの分析を深掘っていくにしても、費用や時間を気にせずにできます。

顧客を幅広く捉えることができる位置情報には、 基礎情報として把握すべきデータが詰まっている。

スーパーマーケットの店舗開発担当者にKLAの人流レポートの評価を聞いたところ、現地の人の流れ等、今までは感覚値で話していたような部分が、明確に数値として証明されている点が非常に助かっているというフィードバックをもらいました。

私も、様々なエリアや施設で、年代や年齢、人流の多い少ない等、それまで漠然としていた感覚値を、明らかな数値として把握できることは面白いと感じます。感覚値は、なんとなくの合意は取れたとしてもビジネスで活用するには弱いですし、そこに事実の裏付けがあるか否かは全然違います。出店は大きな投資なので、客観的なデータを基に判断できるのは、大きな強みになりますね。

単点分析ダッシュボード ※東急様の実際の分析画面ではありません。

今後の展望について

位置情報は、会員か非会員か、購買の有り無し等の偏りがなく、顧客を幅広く捉えることができるため、基礎データして私たちが知っておくべき情報が詰まっているのではないかと感じます。

アンケートデータ等を取るにしてもコストや時間がかかりますし、アンケート会社によってモニターの属性等にバイアスが出る場合もあります。一方、KLAは、既に幅広い年代の方がスマートフォンを持っている状況下で、かつauのスマートフォン契約者の位置情報(※)という、ある意味ランダムサンプリングされたデータをさらに拡大推計しています。ここまでフラットなのは、リサーチデータという観点でもなかなか貴重なのではないでしょうか。

個人的には、何か事業を行う際に、位置情報はまず抑えておくべきといった認識の下地が作れればと思っています。
実際、KLAの活用により、東急グループ保有データでは見えなかった情報が取れるようになりました。現在は、リテール系や開発系の事業での活用がメインですが、最近はそれら以外の部署やグループ会社からも人流分析の依頼が入るようになりました。やはり、グループ全体で位置情報への関心は高いと感じます。各社の事業特性やニーズに応じて、KLAの活用範囲や用途も、まだまだこれから広げていきたいと思います。

(取材2023年8月)

※KLAの位置情報ビッグデータとは、KDDIがauスマートフォンユーザー同意のもとで取得し、誰の情報であるかわからない形式に加工した位置情報データおよび属性情報 (性別・年齢層)を指します。

  • 会社

    東急株式会社

  • 業種

    不動産・ディベロッパー

  • 関連サービス

    • KLA 国内居住者版