自治体との連携授業にKLAを活用
文部科学省「人材育成推進事業費補助金」を採択した理由について
宇野様:
新型コロナウイルス感染症の流行以降、社会構造が大きく変化したこともあり、DX人材の重要性がより高まったと考えています。本校としても、情報やデータを扱える人材の育成に力を注いでおりますが、どうしても学校の授業だけでは社会の変化に対応することが難しい面があります。そこで、最新の分析ツールなどを用いた実践的な授業を行いたいという目的から「人材育成推進事業費補助金」に申請し、採択を受けることができました。
KLAを活用した特別授業を実施した背景について
宇野様:
本校では、2年生を対象とした「総合的な探究の時間」という授業の中で、体育祭や文化祭のときに生徒に配布するペットボトルの水のパッケージデザイン開発を行っています。これは、ただデザインするのではなく、生徒に対して実施したアンケート調査のデータ集計を基にパッケージをデザインするというものです。デザインの良し悪しではなく、そこに至るデータの使い方やデータの重要性を理解してもらうことを目的としています。データ集計やデータ分析に関して、KDDI 法人営業担当者に相談する中で人流分析ツールであるKLAの存在を知り、授業に活用できないかと考えました。そこで提案されたのが、大和市とKDDIとの連携授業だったのです。大和市から「大和駅前の活性化」というテーマをいただき、KLAによるデータ分析をベースにした施策立案をグループで行い、発表するというものでした。
才木様:
特別授業は2026年2月末に行われたのですが、その実施にあたり2025年12月にKDDIの方を講師に招き、KLAの使い方やデータ分析に関する講義を事前に開催しました。この講義ではKLAのデモンストレーションとして、本校のすぐ前を走る国道沿いの時間帯別・年代別の人流データ1年分や、隣駅にある大型のショッピングセンターを利用する人の属性データを見せていただきました。そのうえで、どのような層に向けてキャンペーンを展開するのが効果的なのか、といった考え方を指導いただきました。
生徒の反応について
才木様:
生徒からは「面白そう」とか「使ってみたい」という声をたくさん聞きました。目をキラキラさせながら講義を受けている生徒が多く見受けられたのが、私としては印象的でした。
「大和駅前の活性化」施策立案をグループワーク形式で実施
特別授業の概要について
才木様:
講義に参加したのは1年生全体で約90名ほどだったのですが、その後、特別授業の参加希望者を募りました。グループ作りは生徒主導で行い、クラスの枠を超えて3〜4人を1グループとして5グループ作りました。事前に大和市から、「大和駅前の活性化に向けて、どのような施策が考えられるか」というテーマをいただいていましたので、その施策として人流データを組み合わせたアイデアを、それぞれのグループが発表する授業となりました。
宇野様:
よいアイデアがあれば、大和市でも実際の活用を検討していただけるということでした。通常の授業とは違って、自分たちのアイデアが新しいまちづくりに役立つかもしれないという想いが、生徒の原動力になったのではないかと思います。みんな楽しそうにKLAを操作していた姿が印象的でした。中には、自ら隣駅からの流入データを調べて分析する生徒もいて驚きました。
KLAの操作について
才木様:
実際、各グループがKLAを使ってデータ分析を行い、施策をまとめたのは午前中の3時間で、それを午後に発表するという1日だけの特別授業だったのですが、普段から授業でパソコンを使っていることもあり、どの生徒も難しさを感じていないようでした。もう感覚的にどんどん進めていました。途中で手が止まっている生徒に、KDDIの方がアドバイスをしてくれる場面もありましたが、私たちが想像していた以上にKLAを使いこなしていた印象でした。
KLAを活用した特別授業の成果
才木様:
決められた時間内で意見をまとめきれないグループが出てくると思っていたのですが、全くそんなことはありませんでした。5グループ全てが施策をまとめきったことは非常に驚きであり、彼らの可能性を感じることができました。実際、発表された施策も我々では思いつかないような若者視点のものが多くて面白かったです。
宇野様:
もちろん、まだ高校1年生ですから施策の内容について、もっと深掘りできるのではないかと感じる側面もありました。ただ、今回は生徒にデータの重要性や根拠を用いて物事を伝える大切さを学んでもらうことが目的でしたので、そこは達成できたのではないかと考えています。また、人流データという、ある種の個人データを扱ったことで情報リテラシーや、情報を扱う中でのモラルの重要性を伝えることもできたと感じています。この経験を活かすことで、より思考力を高め、論理的な考え方ができるような生徒が増えていくことを期待しています。
今後の活用について
宇野様:
今回は、1年生の特別授業と3年生のマーケティングの授業での利用だけでしたが、想定以上の成果につながったと思っています。次年度の「人材育成推進事業費補助金」も受けられそうですので、再度の導入を検討しているところです。
生徒による「大和駅前の活性化」施策に対する評価
大和市 まちづくり部 まちづくり推進課
深澤 薫 様
「大和駅周辺まちづくり事業」について
深澤様:
大和市では、大和駅周辺の活性化を目的に「大和駅周辺まちづくり事業」を推進しています。その一環として、若い視点でデータを活用したご提案をいただければと思い、今回の特別授業に参画させていただきました。大和駅は大和商業高等専修学校から近いため、大和駅周辺は、生徒の皆さんに日々利用いただいている馴染みのある地域でもあります。日頃の経験なども踏まえて、何かアイデアをいただければとお願いし、それが実現した形になります。
生徒の発表に対する感想
深澤様:
総括としては、活発な意見交換や若い視点からのアイデアがデータ活用によって生まれることが、すごく新鮮でした。また、KDDIのアドバイスで生徒の皆さんの検討が深まっていく姿がとても印象に残っています。本当に面白い発表が多く、普段私たちの話し合いの中では出てこないようなワードが出てくる中で、若い世代のニーズや必要としているコンテンツがわかったことは大きな収穫でした。例えば「プリントシール機が欲しい」など、具体的なワードが出てきたことが一つのポイントだったと感じています。
また、駅周辺のゴミ拾いでポイントを稼げるような施策を考えたグループの発表からは、若い世代もまちづくりに参加したい気持ちがあることを感じましたし、駅周辺の居酒屋ゾーンを排除せず、いろんな世代が活用できる場所にしたいと発表したグループもありました。若い世代の視点だけではなく、幅広い視点を併せ持っているのが、とてもよいと感じました。
発表された施策が実現する可能性
深澤様:
現在、大和市だけではなく、商工会議所や商店会、自治会、地元の企業の方など、さまざまな方が参加して大和駅周辺の「まちづくり未来ビジョン」を作成しているところなのですが、そこで生徒の皆さんからの提案を紹介させていただく予定です。実際に採用となるかどうかはわかりませんが、ヒントとして参考にさせていただいたり、ご協力をお願いしたりすることがあるかもしれません。なので、今回で終わりではなく、生徒の皆さんと一緒にまちを育てていくことができたら嬉しいですね。
KDDI 法人営業担当のコメント
KDDI Biz Edge株式会社
首都圏統括本部 東京支社 法人営業4部3グループ
吉川 理沙
次世代を担う高校生の皆さまに「KDDI Location Analyzer」をご活用いただけたことを、大変嬉しく思います。 実データをもとに自分たちが住む大和市の課題を見つけ出し、よりよいまちづくりに向けて真剣に議論・発表される姿には、担当者として深く心を打たれました。 教科書の中だけではない「生きたデータ」に触れる体験が、生徒の皆さまにとって地域社会を支える視点を持つきっかけになれば幸いです。今後も、教育現場と地域貢献の両面から、データ活用の可能性を全力でサポートしてまいります。
(取材:2026年3月)